悪徳業者に備えて13

平和な一週間終了

連日、来訪してきた飛込み業者が来なくなって約1週間、そろそろ彼らのことも忘れかけた頃、Dがやってきた。作業服を着ており、いかにも職人風。彼は「現場の帰りにたまたま車で通ったら、たまたま屋根の不具合を発見した」という。詳しい話を聞いてみると途中、言葉を濁しながらも「ここら辺はほとんど通らない」らしい。「工事の仕事をしてるから屋根が気になる」らしい。もう、ここでツッコミたくなってくる。工事の仕事だっていろいろある。そんなに屋根を気にしなきゃいけない工事の仕事って何なんだ? フツーに葺き替え職人とかじゃないから言葉を濁しているとしか思えない。「車で走っている時に発見した」らしい。ほとんど通らない道で余所見をしながら、運転って危険だろ。しかも、夕方の時間帯で遊んでたりする子供とか多いぞ。

 

Dは最初に登場したAと同じ「たまたまノーブレスオブリージュ系」だ。設定的には『俺って仕事一筋の職人よ。屋根は雨風をしのぐ大事な部分。ビシッとしてねーとどうしても気になっちまうぜ。他人様の家だけど、職人の血が騒いじまう。失礼かもしれねーが、一言いわせてもらうぜ』てな感じなのだろう。

 

そもそも車で走っている時に発見したということに無理があるのだが… 具体的にどこで発見したのか聞いてみた。「あの団地の前の道の門のところ」。仕事の話と違ってやけに具体的だが、そこは近隣の家に隠れて私の家が見えない唯一のポイントなのだよ。しかも、視界が限定される車窓からじゃなおさらだ。

 

彼にはもう一度、不具合を発見した場所から家を眺めてみるよう、伝えてみた。その後、彼が訪れることは二度となかったので、さすがにマズイと思ったのかもしれない。